暗闇の中で幻想的に燃え上がり、人々の心を揺らす眩しい炎。。。
大磯には400年もの間守り継がれてきた「左義長(さぎちょう)」という伝統行事があります。
これは浜辺で行われる壮大な火祭りで、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
作家の島崎藤村が大磯に移り住むきっかけになったとも言われる、大磯の「左義長」についてみてみましょう。
もくじ
400年の歴史を持つ大磯の「左義長」とは?
「左義長(さぎちょう)」とは小正月に行われる火祭りのことです。
地方によっては「どんと焼き」「さいと焼き」などと呼ばれることもあります。
大磯の「左義長」は、大磯駅から歩いて10分ほどの北浜海岸で行われます。
地域の守り神であるセエノカミサン(道祖神)に家内安全や無病息災を願い、浜辺で行われる壮大な火祭りなのです。
お祭りの当日の昼間、地域の家々のお正月飾りや縁起物が浜辺に集められます。
そして円錐形で高さが7~8mある「セエト(サイト、斎灯とも言う)」が組み立てられるのです。
![](https://shonanlovers.com/wp-content/uploads/2019/12/DSC_1467.jpg)
冬空にそびえ立つセエト
セエトの中心には「オンべ竹」という、他よりも長い竹が突き出しています。
地区ごとに組み立てられた全部で9基のセエトは、日が沈むとその年の恵方から一斉に点火されます。
これが「セエトバレエ」と呼ばれるもので、一番インパクトのあるシーンでしょう。
炎は暗闇の中に空高く燃え上がり、凍てついた冬の浜辺はひととき、眩しい光に包まれます。
ただ「左義長」はこれで終わりではありません。
セエトが激しく燃え盛る中、頃合いを見て若い衆は裸になると次は「ヤンナゴッコ」が始まります。
裸の若い衆が冷たい海に入り、海中と浜辺とで綱を引き合いが行われるのです。
もちろん屋台も出ています。
大磯海岸入り口近くの献灯提灯おもてなしコーナーでは、15:00~18:00に磯汁無料サービス(先着順)もやっています。
美味しいものが食べられるのは、お祭りの楽しみの一つですよね。
実は大磯の「左義長」はこの日だけの行事ではありません。
前年の12月から始まっています。
そしてその準備には大人たちだけでなく、子供たちにも大切な役割があります。
大磯の「左義長」は、地区の人たちみんなで引き継いできた伝統の行事なのです。
セエトバレエに向けた準備
大磯の「左義長」は、前年の12月始め頃から準備が始まっています。
北浜海岸での火祭りが行われるまでにも、次のようにいろいろな行事があるのです。
(行われる日程は、年度によって多少違います)
一番息子
前年の12月始め、真ん中部分がくびれた石に縄をつけて、子供たちが地区の家々を巡ります。
そして家の人に頼まれた願い事を唱えながら、地面に石をついていきます。
地面に石をつくのには、魔除けの意味があるとされます。
松買い
松の内(1月7日)が過ぎると、青年たちはセエトの材料となる松や竹を準備します。
また同じ頃、子供達はお正月のお飾りを集めに歩き回ります。
道切り(みちきり)
町内のそれぞれの地区の境に、「道切り」というしめ縄が張られます。
この「道切り」には大根が装飾がされている珍しいものです。
お仮屋(おかりや)
町内の8ヶ所にセエノカミサン(道祖神)が宿る「お仮屋」が作られ、子供たちがこもります。
子供たちがこもるのには、「神様と遊ぶ」という意味があるとされます。
七所参り(ななとこまいり)
お祭り前の数日間は、セエノカミサンをお参りして歩きます。
以前は7ヶ所だったため、7ヶ所のお参りをすると「七所参り」と言いました。
現在は1ヶ所増えて8ヶ所になったため、「七所参って八所(ヤアトコ)せ」とも言われます。
お参りのときにあげられたお賽銭は、子供たちの小遣いになります。
このような準備があって、お祭り当日を迎えます。
壮大な火祭りセエトバレエ
お祭りの当日になるとお仮屋などは片付けられ、町内のお飾りは浜辺に運ばれます。
そして写真のように、円錐形の9基のセエト(サイト・斎灯)が組み立てられるのです。
![](https://shonanlovers.com/wp-content/uploads/2019/12/DSC_1483.jpg)
組み立てられたセエトの横を歩くサーファー、、、大磯ならではの風景でしょう。
やがて日が沈み6時半ごろになると、その年の恵方から一斉に火がつけられます。
真っ暗な浜辺は、たちまちセエトの炎に包まれます。
「燃やした書き初めが高く舞い上がると腕が上がる」
「松の燃え炭を屋根にのせると火災除けになる」
「この火で焼いた団子を食べると一年間風邪をひかない」
など、セエトの炎にはさまざまな言い伝えがあります。
![](https://shonanlovers.com/wp-content/uploads/2019/12/DSC_1937.jpg)
セエトの火で団子を焼く様子
この日、北浜海岸近くの数カ所では団子の販売もされています。
大竹竿の先に針金で輪挿しにされた団子で、一つ700円になります。(個数限定)
大磯駅から北浜海岸へ向かう県道沿いにもあるため、販売場所はわかりやすいでしょう。
せっかくですから、買ってみると良いかもしれません。
他にも磯汁サービス(先着順)や木札の販売などもやっています。
裸の若い衆が海へと入るヤンナゴッコ
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海へと入る、ふんどし姿の男たち
炎がセエトの中心の「オンべ竹」まで上がると、今度は裸の若い衆たちの出番です。
ふんどし姿の男たちは厄病神が押し込められた「仮宮」を小舟に乗せると、冷たい冬の海へと入ります。
そして海側と陸側とで綱の引き合いをする「ヤンナゴッコ」が始まります。
海に入った若い衆は魚であるとも言われます。
魚が陸に引きあげられることで豊漁になると言う願いが込められいて、3回の引き合いの後は陸側が勝つことになっています。
最後に、浜辺に上がった「仮宮」は踏み潰して壊され厄病神が退治されるのです。
かつて島崎藤村の心も動かした大磯の「左義長」
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島崎藤村旧宅
「若菜集」や「夜明け前」などで知られる作家の島崎藤村は、昭和16年1月14日に大磯に来て「左義長」を見学しました。
そしてこの祭りに心を動かされ、また温暖なこの地が気に入り、その年の春には大磯に移り住むことに決めたとされます。
その後71歳で亡くなるまで、藤村が2年間住んだ住宅は今も残されていて見学することもできます。
時間があれば、寄ってみてはいかがでしょうか。
大磯の「左義長」
日時:令和2年1月12日(日) 火入れは18時30分ごろを予定
場所:大磯北浜海岸(大磯駅から徒歩10分くらい)
お車の場合には大磯港駐車場(北浜海岸からは徒歩2分)が利用できますが、混雑が予想されるため公共交通機関を使われた方が良いかもしれません。
以前は「左義長」が行われるのは1月14日でしたが、近年は14日前後の土・日・祝日のいずれかとなっています。
令和3年以降は日時が変更になることもありますので、お気をつけください。
投稿者プロフィール
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